愛することと知ること 灰谷健次郎
『あなたの知らないところにいろいろな人生がある。あなたの人生がかけがえのないようにあなたの知らない人生もまたかけがえがない。人を愛するということは知らない人生を知るということだ。 灰谷健次郎』
人生経験を補完するためには、読書が一番だと言われています。
特に、自伝や小説などは、おそらく自分には味わえないだろうという世界観が展開されていることが多いからです。
また、それと並んで、人の話を聞かせてもらう機会があると、さらによいと感じています。
その中でも、「問わず語り」の部分が、最も、聞き手にとっては「未知のゾーン」でしょうね。
傾聴やカウンセリングをしていると、いろいろな人の歴史を、その人の言葉で聞かせてもらい、また、背景を含めて補完をしていくと、その人ならではの貴重な人生が浮かび上がってきます。
人間は、同じような暮らしをしているようで、その実、分類不可能な多種多様な人生があるのです。
それを全部知ることはできませんが、多種多様な人生があるのを知っていること、その一端を垣間見ていることが、自分の人生を省みる貴重な情報になります。
そして、冒頭のフレーズのように、「人を愛するということは知らない人生を知るということ」ときされているように、愛することは、あるがままの相手を知っていくことにあるのではないか? と示されているように感じます。
何かを知ることは、まず、それが、善いことか? 悪いことか? というフィルターから入ることが、圧倒的に多いと感じます。
しかし、「掛け値なしに、実体を知ることから入った方がスムーズだ」ということは、自分自身の経験からも明らかです。
それは、現在位置を知ることで、自分自身が目標とする位置と、どれくらいズレているのかを知ることと似ていると考えています。ナビゲーションシステムの最大利用価値は、そこにあります。
人生はかけがえのないものであることを知り、それは、十人十色であるということです。
さらには、人を愛すると言うことは、ありのままのその人を知り、理解していくことにあるのですね。
知って理解を深め、お互いにより良い関係性を探る事ができれば、良好な将来を共有できる希望はあります。
灰谷 健次郎(はいたに けんじろう、1934年(昭和9年)10月31日 – 2006年(平成18年)11月23日)は、日本の児童文学作家。
「ひとりぼっちの動物園」(あかね書房)
(第27回小学館文学賞)
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