人間は、矛盾だらけ 尾崎一雄

『人間には、他人の幸せを喜ぶ気持ちがあると共に、場合によっては、他人の不幸を喜ぶ、という一面がある。人間とは、そうした矛盾の上に生きている者らしい。 尾崎一雄』

「隣の芝生は青く見える」という言い回しがあります。

また、「人の不幸は蜜の味」というものもあります。

共通点を考えてみると、人間は、他人のことが気になる傾向が高いと言うことですね。

それはどうしてか?

比較優位を感じたいからなのかも知れません。

その根っこに横たわっているのは優劣ではないでしょうか?

人間は、葛藤を感じれば、それが、自分自身を苦しめるプレッシャーになってしまう要素があります。

そもそも、生きている限りは「葛藤」がつきものです。

これが、罪責感を呼び起こし、自分を責めてしまう事があります。

「自分は誰よりも幸せでないとダメ」という想いが強ければ、「他人は自分よりも不幸でなければダメ」ということになります。

このように考えれば、人の不幸は蜜の味という方向性です。

また、「こんな自分は不幸でなくてはいけない」というものさしが発動されると、「他人は自分よりも幸せでなければならない」ということにもなります。

人の幸せをみて、安心する一面でもあります。

シンプルに二極化させてみましたが、これに限らず、人間の気持ちは矛盾だらけなのですね。

出会いがあるのに、結婚に至らない人の中には、「自分は幸せになってはいけない(絶対に)」という、何かのおまじないがかかっているケースがあります。

「不幸」は避けたいですが、「幸せ」になることを自ら拒否し、遠ざけてしまうのですね。

人生には、「葛藤」は付き物で、「幸」「不幸」も、「健康」「病気」あることを受け入れることが大切だと考えています。自分の思い通りにはならないけれど、他人との共有によってもたらされる予想外の結果を楽しめる心のゆとりを持ちたいですね。

尾崎 一雄(おざき かずお、1899年(明治32年)12月25日 – 1983年(昭和58年)3月31日)は、日本の小説家。三重県生まれ。早稲田大学文学部国文科卒。志賀直哉に師事。生活苦の中で執筆し、短編集『暢気眼鏡』で芥川賞受賞。その後大病を患い、療養生活の中で自然や生き物への観察眼を深め、身近に迫る死を見つめた心境小説を発表して高い評価を受けた。昭和期の代表的な私小説作家であり、『虫のいろいろ』や『美しい墓地からの眺め』などの作品は、作者のみならず心境小説の代表的作品として知られている。日本芸術院会員。文化功労者。文化勲章受章。
『暢気眼鏡・虫のいろいろ』(岩波書店)

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Posted by dblacks