慎み深さの品格 ハンス・カロッサ「美しき惑いの年(岩波書店)」

『自分自身の体験と思索によって到達した考えは、たいがいの場合われわれはおだやかにつつしみ深く口にするものである。 ハンス・カロッサ「美しき惑いの年(岩波書店)」』

人生の年輪を感じさせる含蓄がある言葉を聞くと感動することがあります。

それは、その人が歩んできた積み重ねによって、会得してきたからなのでしょうね。

でも、雄弁なタイプや多弁なタイプよりも、ほとんど声を聞くことが無いような人のほうが、一言一言が地に着いた感じがするのも不思議です。

このフレーズにあるように、「おだやかにつつしみ深く口にする」とあるのがそれに相当するのだろうと考えています。

理屈の上で成り立っていても、どこか軽く感じる言葉はよく耳にします。

今は、情報過多の時代なので、成功法則の本やビジネスノウハウの情報は溢れかえっています。

いくつかの要素を柱に立てると、ノウハウ本は出来上がります。

ただし、それは一例に過ぎません。このようにやってきたら成功した。

などという話であって、誰がいつからやっても成功するという保証は無いのです。

投資関係の本も同様で、その人が取り組んできた手法が、大きな成果を得たという一例なのです。

自分が、何かに取り組む時は、自分なりに失敗を積み重ねながら、ターゲットの修正をしながらコツコツ努力するしかないと思います。

幾分かは、それらのノウハウ本は、ヒントになるようなエッセンスがあるとは思いますが、それをそのままテンプレートに使っても、同じような成果が得られるかは未知数なのだと考えています。

予想外、想定外の連続で、周囲環境はコロコロ変わります。まさに、生き馬の目を抜くような目まぐるしい変化の世の中です。

テンポは、時代によっても違いますが、それぞれのペースで、体験や思索を積み重ねて、何らかの地点に到達した時に、今までにない自分だけの基盤ができているのですね。

同じような人生はあるけれど、全く同じ人生は無いと思います。

似て非なる自分だけのオリジナル人生を大切にしながら、思索と体験を積み重ねていきたいと考えています。

ハンス・カロッサ(Hans Carossa,1878年12月15日 – 1956年9月12日)は、ドイツの開業医・小説家・詩人。謙虚でカトリック的な作風であった。
経歴
バイエルン王国(現在のドイツ・バイエルン州)バート・テルツ (Bad Tölz) に生まれた。父も祖父も医師であった。父方の祖はイタリア人で、本来の苗字はカロッツァであった。1886年、一家が転居したピルスティング (Pilsting) の小学校に入り、1888年、ランツフートのギムナジウムへ進み、15歳の頃からヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテを読んだ。詩作も試みた。

未分類

Posted by dblacks