血が止まり傷が治る仕組み
知り合いが、「包丁立ての下にフキンがけをしたら、包丁の先で指がスパッと切れた」と言っていました。
それを聞くだけで、痛いし、血が思い浮かぶし、鳥肌が立つ思いでした。
知人は、絆創膏でグルグル巻きにして、止血ができたそうで、何よりでした。
外傷出血は、圧迫止血をする必要があります。
これは、血液には血管の外に出ると固まる凝固する性質があるからです。
一次止血の主役は血小板です。血管が破れると傷口に血小板が集まり「血小板血栓」という塊を作ります。これにより、傷口を塞ぎ応急処置ができます。
でも、二次止血が続きます。これは、十二種類の血液凝固因子が関与して行われます。見事な連係作業で、最終的には、フィブリノーゲンが、繊維状のフィブリンとなり、多数のフィブリン繊維とつながって血小板血栓を補強するのです。
この止血が作用しないのが出血傾向で、血友病やガンなどは、その傾向が強まります。
血管の中を流れている限り、凝固は起きませんが、動脈硬化などによって、血流が撹乱されたり、停滞されたりすると凝固することもあります。これは、血栓となり、これが血管を詰まらせることを血栓症と言います。
この血栓が、血流に乗り、重要な臓器の詰まらせることがあります。これを「塞栓症」といい、肺動脈に達して起きる「エコノミークラス症候群」などがあります。
外傷は、血栓によって止血をし、治癒に向かうのですが、この凝固の作用が望まないところで起きるのは困ったことです。
傷口が治癒する流れは、「凝固期」「炎症期」「増殖期」「成熟期」となり、傷がキレイになっていきます。
外傷の考え方も変わりつつあります。
以前は、「消毒して乾かすと早く治ると」されていましたが、最近は「湿潤療法」がよく使われるようになりました。
「湿潤療法」は、「水道水で傷口を洗う」「消毒液や石けんは使わない」「保護パッドで傷口が乾燥しないようにする」というポイントがあります。
保護パッドの中では、体液(浸出液)が満ちて、傷を治す細胞の働きを高める効果があります。乾燥させるよりもこの浸出液を活用する方が良いとの考え方です。
保護パッドで傷口を覆う前に水道水でキレイに洗い流す事で、過剰な殺菌をしないのもコツです。
これは、うまくできると、水作業などでも沁みることなく、傷口もキレイになるので、オススメの方法でもあります。
ケガしないのが、一番ですけどね。
参考文献 「人体マジわからんと思ったときに読む本 千田隆夫著」 p59p89
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません