断腸の思い 中国の故事成語
『◇断腸の思い (中国の故事成語)
中国南北朝の宋の劉義慶が編纂した、後漢末から東晋までの著名人の逸話を集めた逸話集『世説新語(せせつしんご)」の「黜免(ちゅつめん)篇」がその由来である。東晋の武将桓温が、蜀に攻め入ろうとして、舟で三峡を渡ったとき、従者が猿の子を捕らえて舟にのせた。母猿が悲しい泣き声をたてながら岸沿いに追ってくる。ついに舟に跳び移ったが息絶えた。その腹をさいてみると腸がずたずたであった。この話を聞いた桓温は、その従者を罷免した。母猿の姿から「腸がちぎれるほど、悲しくつらい」ことを示す言葉となった。』
政治家が、「断腸の思い」と口にしているのを見ていると、非常に軽い印象を持ってしまいます。
ですから、自分自身はこの言葉を迂闊に使えないと考えています。
今回、その由来を知って、思わず唸ってしまいました。
従者にとって、子猿を捕らえることが、日常的に当たり前だったのかも知れません。
でも、母猿にとっては、そうではなかったのです。
子猿との別離はイメージし難く、必死に、まさにいのちをかけて、舟を追いかけ、やっとの思いで乗り移ったことでしょうね。
しかし、そこで、息絶えるというのは、子猿へ命懸けの愛を届けに来たかのようです。
その腹を割くというもの受け容れ難いですが、「母猿の姿から「腸がちぎれるほど、悲しくつらい」ことを示す言葉」と言うのが、何ともズッシリきます。
猿でも、母と子の情は、それほどにまで強いというのは意外でした。
一方、動物の育児放棄や虐待などの話題もあります。
どこかで、歯車がクルってしまったのでしょうね。
別のDNAの子を殺すという例は、動物でも、人間でもあるようです。
本当に、やるせないですが、本能的には、そのような作用が働く可能性があるらしいのです。
さらに、DNAの繋がり、別の表現では血縁が、上手く行くとは限らないという一面だと考えています。
背景にあるのは、感情転移的な要素が、虐待や暴力行為に駆り立てるのでしょう。
お互いに殺し合うことなく、良好な関係を維持発展していくために、できる努力を積み重ねていきたいと考えています。
何よりも、適度な距離感は大切です。
それは、心の距離も、物理的な距離も、それぞれに調整が必要なのですね。
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