聖書ダイジェスト版(2)

(5)エデンの園には、たった一つの禁止令があり、時限的に人間がテストされました。それは『善悪の知識の木の実だけは食べてはいけない』というものでした。しかし、悪魔(サタン)の誘惑にのり、エバが食べ、アダムも食べてしまい、それにより、「罪」が侵入し、霊的死状態になり、肉体的死を意識しながら生きることになりました。これが肉体的生命が引き継いでいる「罪の性質」の正体です。
 【主】は、『女の子孫であるメシアが悪魔(サタン)の頭を砕く(創世記3:15)』と全人類の救済を宣告されました。これは、人間が取り返しがつかない失敗をした結果の『罪』を解決する宣告だったのです。
 アダムとエバは、エデンの園から追放されることになりました。善悪の知識の木の実を食べてから、自分が裸であることを恥じるようになり、イチジクの葉で衣作り、誤魔化そうとしましたが、【主】は二人のために動物の犠牲を伴った皮衣を与えてくださいました。これは、やがて、罪を抱える人間が信仰を持つことにより、義の衣(キリストの衣)を与えられることが予表されています。
 アダムとエバには、二人の息子、カインとアベルが誕生しますが、【主】への捧げ物を受け入れられた弟アベルを兄カインが憎み、「人類史上、初の殺人事件」が起きました。(創世記4章)
 それでも、人は増え広がり、人口増加に伴う困難が起きてきました。

(6)その困難とは、人間の堕落と暴虐が世に満ちたこと、またネフィリム(超人)という存在でした。【主】は、信仰者ノアに洪水から救済するための箱舟(はこぶね)を作るように命じられました。(創世記6章)
 これが、地球規模の大洪水のお話しです。ノアとその妻、セムと妻、ハムと妻、ヤペテと妻、合わせて八人と、種類に従って陸上の動物が保護されました。ノアの箱舟は、「信仰者が救済されるというひな型」
になっています。
 四十日四十夜の大雨は大洪水となって地上を飲み尽くし、箱舟に乗らなかった人たちを滅ぼしました。ノアたちは、【主】からの許しで、一年と十日後にアララト山4000m付近(今のアルメニア)に降り立ちました。


 この八人から、今日の世界人口に増え広がりました。ヤペテは白人系の祖、ハムは黒人系の祖、セムは黄色人種系の祖とされました。セムが【主】の選びの民イスラエルの本流となります。
 聖書にくり返し出て来るのは、人間の失敗と、【主】による裁きと救済です。これは、【主】による人類救済への完結へと繋がっている最重要のテーマです。

(7)【主】は、カルデアのウル(現イラク)にいたアブラハムを召し出し、イスラエルの父(選びの民の祖)として、子孫や土地の約束を与えました(創世記12章)。アブラハムは信仰で【主】に応答しました。でも、その約束が実現するまでには長い期間と、信仰による忍耐が必要でした。アブラハムが百歳の時に【主】が約束されたイサクが誕生しました。それは、人間的には不可能な領域でした。その次の世代は、ヤコブに引き継がれました(創世記27章)。
 【主】の選びの民(イスラエル)に対する子孫の約束は、創世記3章15節で宣告された『女の子孫』、つまりメシアであるイエス・キリストに繋がるという特別な意味がありました。

(8)【主】の選びの民「イスラエル」の歩みは、波瀾万丈でした。アブラハムの族長時代からはじまり、ヤコブの世代で食糧危機により、エジプトに移住しましたが、政権が変わり奴隷状態にされてしまいます。危機に陥り絶体絶命という所から、【主】の助けが記されています。ヤコブは後にイスラエルと改名され、その十二人の息子がイスラエル十二支族を形成することになります。
 この食糧危機の前に、ヤコブの十一番目の息子「ヨセフ」が兄弟たちの嫉妬を受けて、殺されそうになりましたが、結局、奴隷商人に売られてエジプトにたどり着いていたのです。そして、エジプトの「ナンバー2」に取り上げられた後に、その兄たちが食料の買い付けに訪れることになったのです。すべては、【主】の御手が動き、備えがあったのです。奴隷に売られたヨセフは、『受難のメシア』のひな型です。理不尽さの中にストーリーが進んで行くのです。

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