ヨハネの黙示録第15章スタディーノート
ヨハネの黙示録15章『鉢の裁きの前に、七つの災害を携えた御使い、モーセの歌、子羊の歌、開かれた天の幕屋の至聖所』
15:1~2 最後の七つの災害を携えた七人の御使い
15:3~4 モーセの歌と子羊の歌
15:5~6 開かれた天の幕屋の至聖所
15:7~8 七つの鉢
ヨハネの黙示録第15章スタディーノート
(1)最後の七つの災害を携えた七人の御使い(15:1~2)
ヨハネの黙示録11:19を受けて、ヨハネの黙示録15:1に繋がります。これは、鉢の裁きが始まる前の天の神殿の情景描写です。
『天にもう一つの大きな驚くべきしるしを見た』の『もう一つ』とは、すでに見た二つのしるしとは別のものです。それらは、『ひとりの女(12:1):イスラエルの象徴』と、『赤い竜(12:3):サタン(悪魔)の象徴』でした。ここでは、『七人の御使いが、最後の七つの災害を携えていた』とある『七人の御使い』が、そのしるしです。
このしるしは、神の最終的な裁きが始まろうとしていることを示しています。神の聖なる怒りが、神を信じない人類の上や、反キリストの上、そして、偽預言者の上に下ろうとしています。
最終的な裁きは、七人の御使いを仲介者として行われます。封印の裁きも、ラッパの裁きも、同じようにして行われます。御使い(天使)は、神の命令を実行する、しもべたちです。
『七つの災害』は、最も激しい裁きです。『七つの災害』が『鉢の裁き』と呼ばれるもので、大患難時代の七年の最後に起きます。それは、短時間で、連続的に起き、先に行くほど、神の怒りの度合いが強くなります。
これは、最後の裁きです。神の怒りが、その極みに達する裁きなのです。『窮まる』は、ギリシャ語で「テレオウ」で、ヨハネ19:30の『完了した』と同じ動詞が使われています。創造主である神【主】は、『贖いの業』も、『裁きの業』も、完璧に行われるのです。
『私は、火が混じった、ガラスの海のようなものを見た』は、次の箇所にも使われている表現です。
『4:6 御座の前は、水晶に似た、ガラスの海のようであった。そして、御座のあたり、御座の周りに、前もうしろも目で満ちた四つの生き物がいた。(ヨハネの黙示録4:6新改訳2017)』
『24:10 彼らはイスラエルの神を見た。御足の下にはサファイアの敷石のようなものがあり、透き通っていて大空そのもののようであった。(出エジプト24:10新改訳2017)』
ヨハネの黙示録15:2の『火が混じった』は、神の聖なる怒りを示していると考えられています。
そこには、大患難時代の殉教者たちが立っています。彼らは、反キリストを受け入れなかった人たちなのです。
『12:11 兄弟たちは、子羊の血と、自分たちの証しのことばのゆえに竜に打ち勝った。彼らは死に至るまでも自分のいのちを惜しまなかった。(ヨハネの黙示録12:11新改訳2017)』
『神の竪琴を手にして』とあるのは、彼らは、神の恵みによって勝利することができたのです。その忠実さへの報償が、子羊の前での礼拝なのです。彼らにできる最善の応答は、礼拝で、そのために竪琴が用いられるのです。
(2)モーセの歌と子羊の歌(15:3~4)
モーセの歌は、二つの可能性が考えられます。
一つ目は、出エジプト15:1~11に出てくる勝利の歌です。
『15:1 そのとき、モーセとイスラエルの子らは、【主】に向かってこの歌を歌った。彼らはこう言った。「【主】に向かって私は歌おう。主はご威光を極みまで現され、馬と乗り手を海の中に投げ込まれた。
15:2 【主】は私の力、また、ほめ歌。主は私の救いとなられた。この方こそ、私の神。私はこの方をほめたたえる。私の父の神。この方を私はあがめる。
15:3 【主】はいくさびと。その御名は【主】。
15:4 主はファラオの戦車とその軍勢を海の中に投げ込まれた。選り抜きの補佐官たちは葦の海に沈んだ。
15:5 深淵が彼らをおおい、彼らは石のように深みに下った。
15:6 【主】よ、あなたの右の手は力に輝き、【主】よ、あなたの右の手は敵を打ち砕く。
15:7 あなたは大いなるご威光によって、向かい立つ者たちを打ち破られる。あなたが燃える怒りを発せられると、それが彼らを刈り株のように焼き尽くす。
15:8 あなたの鼻の息で水は積み上げられ、流れは堰のようにまっすぐに立ち、大水は海の真ん中で固まった。
15:9 敵は言った。『追いかけ、追いつき、略奪したものを分けよう。わが欲望を彼らによって満たそう。剣を抜いて、この手で彼らを滅ぼそう。』
15:10 あなたが風を吹かせられると、海は彼らをおおい、彼らは鉛のように、大いなる水の中に沈んだ。
15:11 【主】よ、神々のうちに、だれかあなたのような方がいるでしょうか。だれがあなたのように、聖であって輝き、たたえられつつ恐れられ、奇しいわざを行う方がいるでしょうか。(出エジプト15:1~11新改訳2017)』
『七つの鉢の裁き』は、モーセがエジプトにもたらした災害に似ています。
二つ目は、申命記32章で、モーセ自身がイスラエルの民の前で語っている内容です。こちらの方が、【主】による解放や【主】の御業の全体を歌っているように感じられます。
天において殉教者たちが『モーセの歌』を歌っているのは、興味深いです。モーセは、旧約時代において神の民に解放をもたらしました。イエスは、大患難時代において神の民に解放をもたらすのです。
子羊の歌は、聖書には記録されていません。3~4節がその歌の歌詞でしょう。これは、『イエスが神である』ことを宣言しています。反キリストとその勢力を滅ぼすことによって、ご自身の神性を証明されるのです。
『主よ、あなたを恐れず、御名をあがめない者がいるでしょうか』と、大患難時代の殉教者たちの歌が続きます。これは、神の偉大さを強調する文章で、修辞的質問なのです。
旧約時代には、イスラエルは偶像礼拝の国々に取り囲まれていました。その中で、彼らは主(ヤハウェ)だけをほめたたえたのです。
『あなただけが聖なる方です』と『イエスが、聖なる方なので、神の子羊として罪の贖いを提供することができた』のです。
『9:14 まして、キリストが傷のないご自分を、とこしえの御霊によって神にお捧げになったその血は、どれだけ私たちの良心をきよめて死んだ行いから離れさせ、生ける神に仕える者にすることでしょうか。(ヘブル9:14新改訳2017)』
『1:18 ご存じのように、あなたがたが先祖伝来のむなしい生き方から贖い出されたのは、銀や金のような朽ちる物にはよらず、
1:19 傷もなく汚れもない子羊のようなキリストの、尊い血によったのです。(1ペテロ1:18~19新改訳2017)』
『すべての国々の民は来て、あなたの御前にひれ伏します』とあるのは、千年王国において成就する預言です。キリストの再臨に続いて、千年王国が設立されます。キリストは、エルサレムでダビデの王座について世界を統治することになります。
千年王国は、文字通りの地上における王国で、諸国民は、エルサレムに登り、キリストを礼拝するのです。
(3)開かれた天の幕屋の至聖所(15:5~6)
『その後、私は見た』は、ここから、新しいテーマが始まる合図です。
『天にある、あかしの幕屋である神殿が開かれた』の『あかしの幕屋』とは、『天にある神殿』のことです。地上の幕屋や神殿は、天にある神殿のコピーなのです。
『天にある、あかしの幕屋である神殿が開かれた』とは、天の至聖所を示しています。
イエス・キリストが十字架の贖いを完了した時に、聖所と至聖所を隔てている幕が裂かれました。それまでは、至聖所には、年に一回、大祭司が犠牲の血を伴って、隔ての幕をくぐる必要がありました。でも、『罪の除く神の子羊であり、大祭司であるイエス・キリストが、自らの全血を注いで、贖ったので、隔ての幕は不要になった』のです。
聖所が開いたので、そこから『七人の御使いが、七つの災害を携えて神殿から出て来た』のです。至聖所には、大祭司だけが入ることを赦されていました。しかし、御使いたちは『聖』なので、そこに入ることができるのです。
彼らは、七つの災害を携えていて、すぐにでも、鉢の裁きが始まろうとしているのです。
『彼らは、きよく光り輝く亜麻布を着て、胸には金の帯を締めていた。』とある『きよく光り輝く亜麻布』とは、御使いたちが『聖であり義』であることを示しています。『聖である』とは、神のために選び分かたれていることを指し、彼らは、神の裁きを行うために選び分かたれた者たちなのです。『金の帯』は、御使いたちの威光を示すと考えられています。
(4)七つの鉢(15:7~8)
『四つの生き物』とは、ヨハネの黙示録4:6に登場した御使いたちです。
『4:6 御座の前は、水晶に似た、ガラスの海のようであった。そして、御座のあたり、御座の周りに、前もうしろも目で満ちた四つの生き物がいた。(ヨハネの黙示録4:6新改訳2017)』
御使いのひとりが、七つの金の鉢を七人の御使いたちに渡します。そして、七人の御使いたちは、その鉢を順番に地にぶちまけるのです。
『神殿は、神の栄光とその御力から立ち上る煙で満たされ』とは、この煙は、シャカイナグローリー(【主】の栄光)で、厳粛な瞬間なのです。
『40:34 そのとき、雲が会見の天幕をおおい、【主】の栄光が幕屋に満ちた。
40:35 モーセは会見の天幕に入ることができなかった。雲がその上にとどまり、【主】の栄光が幕屋に満ちていたからである。(出エジプト40:34~35新改訳2017)』
『七人の御使いたちの七つの災害が終わるまでは、だれもその神殿に入ることができなかった』とあるのは、鉢の裁きが最後で、最も厳しい裁きであることを示しています。
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