師弟関係に見える無償の絆 長嶋茂雄氏と松井秀喜氏

『(略)6月4日早朝には、ニューヨークから松井秀喜さんが駆けつけてくださいました。松井さん本当にどうもありがとうございました。ご存知の通り、父は松井さんが世界で一番好きな方です。もし、松井さんと私が同時で海に溺れたら、父は私じゃなくて真っ先に松井さんを助けに行くだろうなと、本気で私は考えたこともあります。松井さんがヤンキースに入団された1年目の2003年、もう、父は居ても立ってもいられず、ニューヨークに駆けつけました。そして、ニューヨークのプラザホテルという、とても格式高いホテルのスイートルームから「松井、バットを持って今すぐ来い」と、すぐに電話をしたそうです。松井さんはびっくりされて、「今からですか?」と、バットのケースにしまわずに、もうそのまま裸のまま、小脇に抱えて隠すように、プラザホテルのロビーを歩いて行ったんですよ。私、その話は何度聞いても顔がほころんでしまいます。その後は、父と松井さん二人だけで、無言で松井さんの素振りの音だけが部屋に響いていたと後で聞きました。そして、松井さんが38歳で現役を引退された時に、その新聞記事を、父が私に見せながら、「パパもね、引退したの38歳なんだよ、松井と一緒なんだよ」と、ちょっと寂しそうな、でも、誇らしげな顔をしていたのを、私は今でも覚えています。言っていいのか、わからないんですが、実は松井さんと私でちょっとある約束をしていたことがありました。それは、松井さんが次の巨人の監督になられるかのような雰囲気を父に醸し出しておけば、父は毎年そのことを楽しみにリハビリをもっともっと頑張るので、松井さんどうか父が100歳になるまで言い続けてください。もう題して「『監督やるやる詐欺』しましょう」と、ずっと松井さんと話していました。今ちょっとここで話してしまったので、多分父も聞いているかと思います。(以下略)』
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailysports/sports/20250608102?page=1

2025年6月3日午前6時39分、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄氏が89歳で天寿を全うしお亡くなりになりました。

冒頭の文章は、喪主の長嶋三奈さんのあいさつの一部です。

長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の関係は、娘から見てどのように感じていたかを知り、ジンワリと感動しています。

プロ野球の世界は、カネが絡んだモノだと思っていました。

でも、この二人には、それとは違う関係性があったのですね。

長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の関係は、ドライチで引き当てる所からはじまりました。

その強運と阪神ファンだった松井秀喜氏の複雑な心境の対比が、何とも、人生における後戻りできない岐路を示しているようです。

松井氏は、「自分は阪神に行きたかったけど、クジですから。阪神ファンでしたから(巨人は)憎かった。でも、あの人(長嶋監督)は特別。嫌いという人はいないでしょう。ボクの(巨人への)イメージも変わりました」と語り、「12時37分から会見に臨んだ松井はそう語り、16時30分に長嶋監督直々の指名挨拶電話を受けた。ドラフト翌日には、ミスターのサイン入りの「交渉権確定」用紙と、「松井君 君は巨人の星だ。ともに汗を流し王国を作ろう」という直筆の色紙が届けられ」ました。
https://number.bunshun.jp/articles/-/850050?page=2

1993年の松井秀喜氏入団から、素振りマンツーマン指導は始まり、2001年に長嶋茂雄氏が監督を引退した日、松井秀喜氏は「素振りもこれで最後か」と思うと涙がこぼれていたと自分で語っています。

でも、その日が最後ではなく、その翌日も、また、機会と場所を変えて続いたと言うのです。

松井秀喜氏が「メジャーリーグに行きたい」というと、「どうしても行くというのなら、ヤンキースに行きなさい」と告げたそうです。

また、長嶋茂雄氏の自宅で素振りをする部屋に、ヤンキースのジョー・ディマジオのポスターが貼ってあったのを松井秀喜氏は見逃しませんでした。

本当は、松井秀喜氏はサードのポジションがやりたくって、監督にコンバートをして欲しいと言っても、「センターをやれ」という結論でした。

その理由は、長嶋茂雄氏の憧れでもあるジョー・ディマジオのポジションで、また、縦縞のヤンキースという、そこに、まるで未達の思いを投影したカタチで松井秀喜氏を送り込みたかったかのようです。

これらのことから考えると、「マンツーマン指導の素振り」の本質は、自分の憧れを負わせられる逸材を育てるというイメージが浮かび上がってきました。

最近は、プロ選手ほど、コーチをつけて、客観的に助言を請う時代です。ビジネスでは、契約とカネは基本のキです。

でも、長嶋茂雄氏は、スポ根マンガの元祖とも言うべき「巨人の星」そのものだったのかも知れません。

そこに、無償の愛を感じるのは、私だけではないと思います。

その関係性から、生み出された一つ一つが、多くの人に感動を与え続けていくことでしょう。

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トリビア

Posted by dblacks