エペソにて 使徒の働き19:8-12
『19:8 パウロは会堂に入って、三か月の間大胆に語り、神の国について論じて、人々を説得しようと努めた。
19:9 しかし、ある者たちが心を頑なにして聞き入れず、会衆の前でこの道のことを悪く言ったので、パウロは彼らから離れ、弟子たちも退かせて、毎日ティラノの講堂で論じた。
19:10 これが二年続いたので、アジアに住む人々はみな、ユダヤ人もギリシア人も主のことばを聞いた。
19:11 神はパウロの手によって、驚くべき力あるわざを行われた。
19:12 彼が身に着けていた手ぬぐいや前掛けを、持って行って病人たちに当てると、病気が去り、悪霊も出て行くほどであった。 使徒の働き19:8-12新改訳2017』
エペソでの伝道について学ぶ。
◆会堂での奉仕(8~9節a)
エペソのユダヤ人たち(会堂)は、パウロに好意的でした。エペソは国際的都市でした。ここのユダヤ人たちはコスモポリタン(国籍などにはこだわらないで、全世界を自国と考えている人。世界主義者。)。他の町のユダヤ人たちよりも寛容でした。現在でも、テル・アビブのユダヤ人とエルサレムのユダヤ人は違うのです。パウロは、第二次伝道旅行の終わりに、エペソを訪問していました(使徒の働き18:19~21)。
パウロは、3ヶ月間にわたり会堂での奉仕をし、先ずユダヤ人に、次に異邦人に、という伝道の原則を実践しました。エペソのユダヤ人たちは、アポロの時と同じように、パウロとも論じ合い、この討論は、3ヶ月も続いたのです。パウロの活動で、迫害や裁判なしに伝道を継続できたのは、これが最長記録です。パウロのメッセージの中心は、「神の国」だったのです。
でも、長引く討論に飽き飽きしたユダヤ人たちが出て来て、彼らは、知的に頑なに、信者たちを見下し、悪く言うようになったのです。
「この道のことを悪く言った」とあるのは、会堂での3ヶ月の奉仕が続いた時点で、ユダヤ人たちは福音を拒否し、そこでパウロは、異邦人伝道に向うことになったのです。ペンテコステの日に教会誕生してから約25年が経過しても、キリスト教は「この道」と呼ばれていたのです(使徒の働き9:1~2、使徒の働き19:23)。
◆ツラノの講堂での奉仕(9b~10節)
パウロとユダヤ人信者たちは、会堂を去って新しい拠点に移動し、ツラノの講堂が新しい伝道の拠点となりました。コリントでは、テテオ・ユストの家が拠点となったようにです。(使徒の働き18:7)。ギリシア人のツラノという人物の所有物件を借りて、そこで毎日論じました。このツラノは、巡回教師たちに講堂を貸していたと思われます。
パウロが教えた時間は、午後(シエスタ)で、「Codex Beza(Western Text)」によると、午前11時から午後4時と書かれています。これは、正確な伝承だと思われます。パウロは、午前中と夕刻には、労働をしたと推察されています。
パウロのツラノの講堂での奉仕は、2年続きました。でも、3ヶ月+2年は、ヘブル的には3年なのです。そして、アジアに住む人々はみな、福音を聞いたのです。
◆癒しと悪霊の追い出し(11~12節)
病人の癒しは、エペソ伝道に伴った創造主である神【主】の御業です。これは、パウロに癒しの能力が備わっていたということではありません。その驚くべき力ある御業を行っているのは、創造主である神【主】ご自身なのです。パウロは、自分の思い通りに癒しを行えたわけではないのです(2コリント12:7~8、1テモテ5:23、2テモテ4:20)。
その時、パウロが身に着けていた手ぬぐいや前掛けを病人たちに当てだけで、彼らは癒されました。使用したのは、天幕職人の手ぬぐいや前掛けです。つまり、病気が、間接的方法で癒されたのです。さらに、悪霊も出て行きました。
これらの奇跡は、パウロが語るメッセージを保証するための「しるし」でした。これは、ペテロの奉仕に似ています(使徒の働き5:15~16)。手ぬぐいや前掛けに神秘的な力があったわけではなく、「創造主である神【主】の力が顕著に表われた」ということを証明する外的証拠なのです。迷信や魔術が横行していたエペソでは、これらの「しるし」が必要だったのです。もし、今日、同じことを行っても意味はなく、万が一、癒しが起ったとしても、それは創造主である神【主】の御業ではないのです。
ここで悪霊の追い出しが出て来るのは、説明を次の箇所(スケワの7人の息子たちのエピソード)につなげるためなのです。
☆パウロのメッセージの強調点は、神の国です(使徒の働き19:8)。
推察される討論の展開は、①ナザレのイエスは、ヘブル語聖書が預言しているユダヤ人のメシアであり、②この方は、十字架に架かり、墓に葬られ、3日目に復活された。③ユダヤ人たちが信仰に踏み込めない最後の理由は、ではなぜ、メシア的王国が、まだ実現していないのかという疑問です。④「神の国」とは、メシア的王国(千年王国)のことです。
ユダヤ人にとっては、メシア的王国は最終的な希望なのです。
使徒の働き1:3、使徒の働き1:6~7、使徒の働き28:23、使徒の働き28:30~31
パウロの伝道の最大の拠点は、エペソでした。使徒の働き19:10によると、2年間、毎日、パウロは聖書を教え、その結果、アジア州の住民たち(ユダヤ人も異邦人も)の多くが、神のことばを聞く機会に恵まれたのです。
☆アジア州における種々の教会の誕生
コロサイ4:12~13によると、ラオデキヤ、ヒエラポリス、コロサイの名前が出て来ます。これは、リカス渓谷の近辺に誕生した教会です。エパフラスは、パウロから学んだ信者の一人で、そのような人たちによる働きと考えられます。ヨハネの黙示録2~3章に登場するそれ以外の教会(スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィア)は、この時期に誕生したと思われています。
☆私たちへの教訓として、①奉仕の集大成の土台には、忠実な奉仕の蓄積があります。②奉仕が実を結ぶためには、神が用いやすいしもべとしての成長が必要です。でも、救霊の働きを行うのは、復活のイエス・キリストなのです。③もし、物理的な活動量は減っても、霊的な成果は増えるのです。④弟子訓練を通して、伝道が拡大するのです。



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