トラウマについて考える 5

トラウマティックな環境を生き延びる対処は、生き方のクセをさらに複雑にしてしまいます。【本人】は、「自分でもわからないわかってもらえない」と感じ、「自分のせい」や「ひとのせい」と犯人捜しをしてしまいます。

一方、【支援者】は、なぜかわからない? どうすればいいのか?と首をひねりながら、「自分のせい」や「ひとのせい」と犯人捜しのループに陥りやすいのです。

でも、トラウマについての知識を持ち、どのような影響を受けているか認識して適切な対応をすることで再トラウマを予防して、より良い生き方ができる可能性が高まる方法があるのです。

それが、「トラウマインフォームドケアTrauma Informed Care:TIC」です。

「その人にとって 言葉や状況がどう感じられているのか? 考えながらも、当事者に教えてもらう【理解=共感】を深め「責任の境界線: 自責感の軽減と自己選択力の強化」していく流れです。わかりやすく言うと「生き方の練習」でしょうか。

当事者は、「親の機嫌を取ってきたり」「酒」「約束破り」などの積み重ねで、傷を深くしています。

「根掘り葉掘り」事情聴取するのは、マイナスでしかありません。

当事者が「過去のこと」を整理し「今、どう考えるのか?」を「共有」していく伴奏者的な立ち位置が、支援者の役どころです。

「課題の切り分け」が大切で、原則として「行動を取った人に責任がある」という認識を浸透させていく事が肝要です。

トラウマインフォームドケアは、二つの柱があります。
1つ目は【心理教育】です。これは、トラウマの説明 「こころもケガをする」から、心身への影響の説明 「あなたはおかしくない」、そして、安全な対処法 「どうしたら落ち着くかな」という流れです。

2つ目は【対処法】です。「リラクゼーション(気持ちを落ち着けるため)、呼吸(息を吐くことが大切)、ストレッチ(緩急をつけ、過度な硬直を緩める)、好きなもの」や「グラウンディング(意識を戻す、あるいはシャキッとする状態で、 「聞こえてる?」「ここはどこ」という「今ココ」への意識付けです。

さらに、「問題解決法」の共有です。「相談の仕方、言い方・断り方」を学んでいきます。

【資料】子どもの性の健康研究会 http://csh-lab.com/leaflet_download

保護的・補償的体験について考えてみます。
Protective and Compensatory Experiences: PACES (Heys-Grudo & Morris, 2018, 2020)
これは、心に傷を負った当事者が、本来の自分を発見したり、取り戻せるための条件について考えられ、実践されているものです。

まずは、【関係性】です。「親や養育者からの無条件の愛」「親友がいること」「ボランティア体験」「社会集団の一員であること」「家族以外からのサポート」が考えられています。

これは、すべてという訳では無くて、一つ以上、また、周囲に信頼関係を結べる対等な関係性の人がいるかどうかが大切なようです。

また、【資源】としては、「十分な食料のある生活で安全な家」「学ぶための資源と機会」「夢中になれる趣味」「団体スポーツの一員/定期的な運動」「規則正しい日課と公正で一貫性のあるルールをもつ家族の一員である」などの環境や意識が大切な要素としてあげられています。

「TIC」は治療ではなく、よい環境とよい関わりを提供することです。

例えば、骨折をした人がいたとします。役割を考えると、「骨を治す (cureキュア)のは医師」で、「痛みや不便さを理解し治癒を支える (careケア)のは支援者」という分担が考えられます。

そして、「痛みをかかえつつ生活し、リハビリに取り組むのは本人」という事になります。

「care(ケア)」は、傷に気づき、傷を悪化させない支援的な関わりです。

この支援者の役割で、当事者がより良い方向へ向かう伴奏者の存在が大切で求められているのですね。

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