圧政の中で育まれた風刺
国によっては、国家体制が変化するときに、反体制派は窮地に追いやられるというのは、21世紀の今でも続いています。
また、選挙で選ばれるはずなのに、なぜか選挙の度に死者が出るという、過激な地域もあります。その地域では、選挙で勝てば権力も経済力も手に入り、負ければ生活が一変するというのです。
背筋がゾワッとする話です。
その様な中で、育まれるのは風刺画という文化です。
簡単に説明すると、ユーモアを交えた批判です。ただし、面と向かって抗議をするわけではないので、取り締まる前に流布するケースが多いようです。
舌鋒鋭く、批判を繰り返しても、怒りはエネルギーを消耗しますから、疲れ果てて沈静化してしまいます。
体制側は、そのタイミングを見計らっているかのようです。
でも、ユーモアを伴う風刺画の場合は、拡散力も持続力もあります。
新聞の中に、政治経済やオピニオンの蘭にある「一コマ漫画」がそれに相当します。
あまりピンと来ないものもありますが、たまに、感心するモノがあります。
SNSが全盛の時代です。その中には、ナカナカできばえも良く、「なるほど」と思わせるモノがあります。
より多くの人に共感を得たモノは、爆発的に拡散される傾向があります。
この21世紀に、信じられない現象が起きています。
それは、メディアの規制です。
真実に近い情報が、削除されたり、凍結されたりしているのです。
どの時代にも、権力者は真実を不都合と感じるのでしょうか?
何れ、真実は白日の下に明らかにされることでしょうね。
風刺画
漫画の一分野。漫画をあえて定義すると、「風刺」の要素あるいは「遊び」の要素を含んだ絵画といえる。両要素がバランスよく含まれた絵画は漫画として非常におもしろい。「遊び」の要素の強いものは一般的に戯画とよばれ、同様に「風刺」の要素の強いものは風刺画とよばれる。
人間社会には不合理や矛盾が満ちあふれているから、それに対して反発する気持ちはだれにでもある。そうした抵抗心・批判精神を絵として表現したものが風刺画である。したがって風刺の対象とするものは人間であり、事物や動物などを使って風刺するものも、その裏に人間批判が隠されている。風刺画は、人間性そのものを風刺するものから、仲間や周囲の社会を風刺するもの、さらには一国の最高権力者を風刺するものまで、幅が広い。(中略)
風刺画の歴史に革命をもたらしたのは18世紀末の石版画技術の発明である。そのスピーディーで大量に制作できる特性によって、ジャーナリズムのなかに風刺画が登場してくる。新たに時局問題をテーマにして政治的主張や教育宣伝的内容を盛り込むようになる。パリ・コミューン期の風刺画使用の宣伝戦はよく知られており、その精神は今日でも漫画の主要な機能として生き続けている。(以下略)
小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
https://kotobank.jp/word/%E9%A2%A8%E5%88%BA%E7%94%BB-122957
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません