沈黙は、雄弁 カーライル

『沈黙は口論よりも雄弁である。 カーライル』

このフレーズは、一見すると矛盾を感じますが、身の回りを思い浮かべると分かりやすいですね。

「夫婦げんかをして、一ヶ月間会話をしなかった」などと聞かされた人はいませんか?

まあ、それには、性格や心理作戦が関係しているので、良し悪しは分けて考えた方がよさそうですね。

「警戒警報」と考えた方が理解しやすいでしょうか。

あの人が沈黙すると、よほど、ご立腹だと感じる事があります。

これが、発散型タイプの人であれば、いつも「ブツブツ」あるいは「ガーガー」言っていたりするので、「あーまた言っている」という程度の捉え方を周囲の人は、するでしょうね。

どちらが、「警戒警報」の度合いが高いかというと、「沈黙型」の方が、圧倒的に緊張感があるのではないでしょうか?

「あー言えば」「こう言う」などという言葉のキャッチボールが成り立つ間柄は、ある程度良好な関係なのかも知れません。

このフレーズは、「英雄崇拝論」で取り上げられたものなので、その方面を考えて見る必要もありますね。

「世界の歴史は英雄によって作られる」と主張で知られていますが、彼の言う「英雄」は歴史に影響を与えた神、預言者、詩人、僧侶、文人、帝王などを指しています。

基本的に神は「沈黙」、帝王は最小限の言葉で威厳を示すように育て上げられたりします。

預言者、詩人、僧侶、文人などは、それぞれの表現方法によっては雄弁です。

でも、その中で一番威厳を感じるのは、「沈黙」を貫く神なのかも知れませんね。

聖書の【主】は、独自の方法で語られた事が記されています。でも、圧倒的に「沈黙」、つまり、人間から【主】の意図が理解できない期間が長いというのも、信仰を必要とする関係性なのです。

ペラペラ言葉数が多い英雄よりも、むしろ行動派の寡黙なタイプの方が、民衆の注目を集めるのかも知れません。「沈黙」は、ミステリアスでもありますからね。

今の時代に、表舞台に立っている有名人は、「演者」に過ぎないという指摘があります。あまりにも雄弁すぎるタイプが多いからなのでしょうか。その理由の一つは、原稿がある前提で読み上げるのが上手な人が選ばれているのかも知れないという疑念ですね。

内村鑑三も尊敬していたカーライルのフレーズでした。

トーマス・カーライル(Thomas Carlyle, 1795年12月4日 – 1881年2月5日[1])は、19世紀イギリス(大英帝国)の歴史家・評論家。
スコットランドのダンフリーズ・アンド・ ガロウェイ、エクルフェカン(英語版)出身。
代表作には、『英雄崇拝論』、『フランス革命史』、『オリバー・クロムウェル』、『衣装哲学』、『過去と現在』などがある。ドイツ文学を研究したことでも知られ、ゲーテとの往復書簡がある。〈全集 The works of Thomas Carlyle〉は30巻に達している。

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Posted by dblacks